歯根端切除術とは?
〜根の治療で治らないときの「最後の砦」〜
北村歯科医院 院長 北村聡一
はじめに
「根の治療を何度繰り返しても、歯茎の腫れや違和感がなくならない…」
このようなお悩みをお持ちの方に、ぜひ知っていただきたい治療法があります。それが
歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)です。
通常の根管治療(根の中を掃除する治療)では改善しないケースでも、この外科的な処置によって歯を残せる可能性があります。今回は、どんな治療なのか・どんな場合にできないのかを、わかりやすくご説明します。
歯根端切除術とはどんな治療?
歯の根の先端(根尖)に細菌の巣(根尖病変・嚢胞)ができると、通常は根管治療で細菌を取り除きます。しかし根の形が複雑だったり、以前に治療した根管が石灰化していたりすると、器具が届かず完全に除菌できないことがあります。
そこで、歯茎を切開して骨の中に直接アクセスし、感染した根の先端を切り取って病巣ごと除去するのが歯根端切除術です。
■ 手術の流れ
- 局所麻酔(歯科での一般的な麻酔です)
- 歯茎を切開し、骨に小さな穴を開ける
- 根の先端を約3mm切除
- 病巣(嚢胞・肉芽組織)を丁寧に除去
- 根の切断面を専用の材料(MTAセメント等)で封鎖
- 縫合・術後管理
手術時間は歯の位置にもよりますが、おおよそ30分〜1時間程度です。
こんな場合に適応になります
- 根管治療を繰り返しても症状・病変が改善しない
- 根の先端に嚢胞や肉芽組織が形成されている
- 根の中に金属の土台(ポスト)が入っており、通常の治療が困難
- レントゲン・CT検査で根尖病変が確認されている
歯根端切除術ができない(難しい)部位
歯根端切除術はすべての歯に適応できるわけではありません。部位や状態によっては、安全に行えないケースがあります。
■ ① 上顎大臼歯(奥歯)の口蓋側の根
上顎の奥歯は根が3本あります。頬側の根はアクセスしやすいですが、上あごの内側(口蓋側)の根は非常に深い位置にあり、術野の確保が困難です。また上顎洞(副鼻腔)への誤穿孔リスクもあるため、慎重な対応が必要です。
■ ② 下顎大臼歯(奥歯)
下顎の奥歯の根の近くには、下歯槽神経・血管が走っています。根の先端が神経管に近接している場合は、神経麻痺や大出血のリスクがあるため、多くのケースで適応外となります。
■ ③ 上顎洞に近接した歯
根の先端が副鼻腔(上顎洞)に近接・突出しているケースでは、手術によって上顎洞炎(副鼻腔炎)を引き起こすリスクがあり、適応を慎重に検討します。
■ ④ 根が著しく短い歯
歯根端切除では根の先端を約3mm切り取るため、もともと根が短い歯や以前の治療で短くなっている歯では、切除後に残る根の長さが不十分になり、歯の保存が難しくなります。
■ ⑤ 歯を支える骨が著しく少ない・歯根破折がある場合
重度の歯周病で骨の吸収が進んでいる場合や、根に縦のひびが入っている(歯根破折)場合は、手術自体が可能でも長期的な予後が見込めないため、適応外となることがほとんどです。
手術後の経過と注意点
- 術後数日は腫れ・内出血が出ることがありますが、これは正常な反応です
- 処方された抗生物質・鎮痛剤はきちんと服用してください
- 抜糸は約1週間後が目安です
- 3〜6ヶ月後にレントゲンで治癒状態を確認します
まとめ
歯根端切除術は、通常の根管治療では改善しない場合に「歯を残す最後の選択肢」として有効な治療法です。ただし、すべての歯に適応できるわけではなく、CTによる精密診査と十分な説明が欠かせません。
「根の治療が長引いている」「何度治療しても再発する」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
神戸市兵庫区 和田岬 北村歯科医院 Tel 078-681-1582
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