保険でできる白い歯治療「CAD/CAM冠」の進化と新素材PEEK冠
こんにちは。北村歯科医院 院長 北村聡一です。
今回は、近年大きく進化しているCAD/CAM冠と、2024年の保険改定による新しい選択肢についてご紹介します。
1. CAD/CAM冠とは?
CAD/CAM冠(キャドキャムかん)は、コンピュータで設計(CAD)し、機械で削り出す(CAM)白い被せ物です。
2014年に日本の保険に初めて採用され、当初は小臼歯(前から4番・5番)だけが対象でした。
その後、前歯にも適用が広がり、さらに奥歯(大臼歯)へと拡大してきました。
この流れは、「銀歯から白い歯へ」という国の方針と、デジタル技術の活用を進める動きの一環です。
金属アレルギーの心配が少なく、見た目も自然に近づく治療が保険でできるようになったことは大きな変化です。
2. 奥歯のハードルを下げた新素材「PEEK冠」
以前は、噛む力の強い奥歯(大臼歯)ではCAD/CAM冠の強度不足が課題で、保険で使える条件が厳しく制限されていました。
しかし、2023年12月に登場した新素材「PEEK(ピーク)冠」が状況を変えました。
PEEK冠の特徴
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高い強度と耐久性
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噛み合う歯を傷つけにくい
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金属不使用でアレルギーの心配が少ない
最大のポイントは、PEEK冠は全ての奥歯に条件なしで使えるようになったことです。
これまで銀歯しか選べなかった方も、保険で白い歯にできる可能性が広がりました。
※見た目はアイボリー単色で、セラミックのような透明感はありません。
3. 見た目重視ならハイブリッドレジン冠も選択肢に
PEEK冠の導入と同時に、従来のハイブリッドレジン冠も適用条件が緩和されました。
以前は「上下左右すべての奥歯が残っている」など条件が厳しかったのですが、2024年6月からは咬み合わせの条件が合えば、多くの症例で使えるようになりました。
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PEEK冠 → 強度重視・噛む力が強い方におすすめ
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ハイブリッドレジン冠 → 見た目重視で自然な色味を求める方におすすめ
4. 新しい治療法「エンドクラウン」も保険に
2024年6月からは、神経を取った奥歯向けの「エンドクラウン」も保険対象になりました。
従来は神経を取った歯には「ポスト(支え)」を立てて被せる方法が一般的でしたが、エンドクラウンは土台を作らずに被せられるのが特徴です。
メリット
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歯を削る量が少ない
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歯根の割れリスクが低い
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治療後の歯の寿命を延ばしやすい
適用は奥歯(6番・7番)のみに限られますが、神経を取った歯の新しい選択肢として注目されています。
5. 費用の目安
CAD/CAM冠やPEEK冠、エンドクラウンの保険治療費(3割負担)は、約6,500〜10,000円程度(歯の部位や条件によって変動)です。
6. 当院からのメッセージ
近年の保険改定により、見た目も健康面も考えた白い歯治療が選びやすくなっています。
ただし、素材や方法によって強度・見た目・適用条件が異なるため、最適な選択は一人ひとり違います。
北村歯科医院では、患者さまの
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見た目の希望
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噛み合わせの状態
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長期的な歯の健康
を踏まえたご提案をしています。
「銀歯から白い歯にしたい」「新しい素材について知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。